最近、企業CMなどでインターネット上で批判され、釈明に追われたり場合によっては放送中止に追い込まれる事態が相次ぐ。
日々、大量の情報のなかにいる消費者に対しては、ある程度対象を絞って明確に表現をしなければ、メッセージは届きにくい。
それゆえ批判も起こるわけだが、そうした批判を避けるにはどうすればいいのか。共感を呼ぶ文章術に関する著作が多い、中野巧氏に寄稿してもらった。
SNS(交流サイト)の普及でネット上での批判は瞬く間に広がる。批判が高じて「炎上」につながるケースも相次いでいる。
ある調査では年間1,000件を超えるという。最近では、アサヒ飲料の三ツ矢サイダーのCMで、トランペットを吹く女子学生に、別の学生が後ろから駆け寄って軽くぶつかる、という設定が危険という批判が殺到し、アサヒ飲料はCMの放送を中止。
ユニ・チャームが育児に孤軍奮闘する女性の姿を描いたCMは、がんばる女性を応援した企業側の意図とは逆に、ネット上では「ワンオペ育児」を礼賛するものとして炎上、ユニ・チャームもCM中止に追い込まれた。
どれくらいの消費者が炎上に加担しているのか。文化庁が今年9月に発表した「国語に関する世論調査」によると、全体の2.8パーセントという。
この数字以上に、企業にとってダメージが大きいというのが実感だろう。
しかし、炎上を気にしすぎると、散漫な表現となり、誰にも響かなくなってしまう。
ネット上の批判を避ける表現術
炎上に加担する人の心理を考えると、サイト上の表現やメッセージに対して、自分たちの見方や考え、場合によっては存在を否定されたり、無視されたりすることが発端になる例が多い。
そこで、発言を考える際に、自らが発信するメッセージとは反対あるいは否定的な立場の人に対しても、想いを寄せる、つまり「共感」することが大切になる。
ネガティブな人たちに寄り添いながら、目当ての消費者にメッセージを伝えるには、以下のステップを踏んで準備したい。
①目当ての消費者が告知する取り組みを知ったときの反応をイメージする。
例えば、商業施設が20代限定で大幅割引キャンペーンをする場合、対象の20代の消費者が喜んでいるき様子が目に浮かぶだろう。
②取り組みを知った消費者が何を言うか想像する。
前述のケースでは「すごい!お得じゃん」「SNSで投稿しよう」などが考えられる。
③そうした発言をする消費者が見た文面には、どんなことが書いてあったら響くか、イメージする。
「20代限定、生活応援キャンペーン」
①〜③は通常、キャンペーンを企画する際、多くの担当者がやっていることだろう。
そこから先の3つのステップが否定的な反応を示す人の気持ちに寄り添い、理解を示すことになる。
④宣伝文を読んで、気分を害する人を想像する。
20代限定キャンペーンなら、30代以上の顧客、中でも常連客が浮かぶ。
⑤否定的な印象を持つ人たちに、言われたくない発言をイメージする。
「常連客をないがしろにしている」
⑥そんな発言をする人たちに、何をどう伝えれば安心するか、考える。
「今回は将来の顧客基盤を作るため、20代限定ですが、今後、他の世代向けにもお得なキャンペーンを用意します」
仮にネット上で批判されても、④〜⑥を事前に想定し、表現に入れる、またはにじませるなどしておくことでネット上で批判一辺倒にさらされる可能性を低くなるだろう。
メッセージは明確に主張
ネット上の批判は想定外のところから飛んでくることも多いが、最近は炎上に加担しないだけでなく、擁護してくれる人も多く出てきた。
実際、牛乳石鹸共進社のネット動画CMでは批判もあったが、擁護する意見も多く書き込まれた。このCMは中年サラリーマンの平凡な1日を描いたもの。
子供の誕生日にケーキやプレゼントを買うよう妻に頼まれ、その日、部下と飲みに行ってしまう。帰宅後、妻にしかられ、風呂の中で自分の父親を思い出して、今の自分と比べてしまう。
「子供の誕生日に飲みに行くなんて考えられない」といった批判に対し、「等身大の今の父親を描いたんだろう」などといった意見も多くみられた。
このCMでは、いい父親という役割を果たしきれないでいる、中年男性の苦悩をにじませたことが、身勝手な夫=父親として終わらなかった理由だろう。
別の立場の人たちの考えを想定、配慮することで、メッセージがよりストレートに表現でき、結果として受け手により深く刺さるようになる。
逆に事前の想定、表現の配慮をしなければ、ネット上で批判を浴びた場合、釈明しても「言い訳」とみなされ、さらなる批判を招きかねないリスクが高まる。
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6つのステップは、エンパシーチャートの簡易版のようなフローなので、メッセージ出しから、文章構成、文章化まで、シームレスに書きたい場合は、やはり、エンパシーチャートが便利です。
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